この一年間を振り返ってみようと思います。
まずは、
昨年(2013年)のウミガメの上陸、産卵のご報告です。
まずは寄田海岸。
右端は川内原発敷地。
川内原発の排水口も見えます。
孵化場があり、見つけた卵はここへ運びます。
上陸産卵、20頭。上陸のみ、7頭。
産卵、2099個。孵化旅立ち1478匹。
寄田海岸(2013) |
続いて、久見崎海岸。
右の方は、川内原発3号機増設予定地。
左は川内川。
川内川から竹や木が流れてきて
海岸に堆積するので毎年産
産卵は増設予定地に多く見られます。
上陸産卵、5頭。上陸のみ、2頭。
産卵、548個。孵化旅立ち、291匹。
久見崎海岸(2013) |
北の方へ行って、唐浜海岸、湯田海岸。
上陸産卵、22頭。上陸のみ、8頭。
産卵、2373個。孵化旅立ち、1276匹。
唐浜海岸・湯田海岸(2013) |
最後に、西方海岸。
孵化場があります。
上陸産卵、7頭。
産卵、852個。孵化旅立ち、215匹。
西方海岸(2013) |
上の資料は、薩摩川内市のウミガメ監視員さんからいただいたものです。
大変なお仕事ごくろうさまです。
そして、今年もウミガメの産卵の季節は終わり、
現在は次々と孵化をして、子ガメたちが旅立っていっています。
今年(2014年)の上陸、産卵頭数ですが、
寄田海岸での産卵が激減しています。
なんと3頭だけでした。
唐浜、西方では、今まで通りだったそうです。
過去5年間の寄田海岸と久見崎海岸の
産卵数(産卵頭数)、孵化旅立ち数です。
(2010)
寄田海岸 1998個(17頭) 1210匹
久見崎海岸 3261個(25頭) 1823匹
久見崎海岸 3261個(25頭) 1823匹
(2011)
寄田海岸 2459個(24頭) 1566匹
久見崎海岸 559個(5頭) 416匹
久見崎海岸 559個(5頭) 416匹
(2012)ウミガメ監視員さんがけがのためデータがありません
(2013)
寄田海岸 2199個(20頭) 1478匹
久見崎海岸 548個(5頭) 291匹
久見崎海岸 548個(5頭) 291匹
(2014)
寄田海岸 (3頭)
久見崎海岸 (3頭)
久見崎海岸 (3頭)
これまで20頭近く産卵があった寄田海岸で
今年は産卵が激減しています。
産卵の目印も今年は少なめです。
寄田海岸の産卵場所の目印(日付と卵の数が記されています) |
寄田海岸の漂着物で作られた産卵の目印 |
寄田海岸のウミガメ孵化場 |
立て看板には、
「ウミガメを守りましょう。
ウミガメ保護にご協力をお願いします。薩摩川内市」
の文字が・・・。
孵化場の立て看板 |
ウミガメ監視員さんのお仕事も
市から委託されたもの。
薩摩川内市ではウミガメ保護に
力を入れているようです。
この寄田海岸の産卵頭数の激減は
薩摩川内市にとっても重大な事件なのでは!?
今年、川内原発は再稼働に向けて
安全対策の工事があちらこちらで行われています。
ウミガメ監視員さんのお話では、
この工事の騒音や振動、赤土の流出が
関係しているのではないかということでした。
これまで久見崎海岸からは、
川内原発の建屋を見ることができませんでしたが、
今では、木を切り、山を削り、
盛り土をした土がむき出しになって見えています。
重機が絶えず音を立てて動いています。
放送のような声も聞こえてきます。
久見崎海岸から川内原発を臨む |
原発建屋が見えるようになった久見崎海岸 |
このような環境が、
ウミガメの産卵に影響を与えたのでしょうか。
久見崎海岸の産卵目印 |
きちんとした調査が行われることを祈ります。
ちょっと遅れて孵化したウミガメの赤ちゃん |
ウミガメの赤ちゃんの旅立ちは夜です。
子ガメたちは光に向かって進む性質があるので、
原発敷地から灯りが漏れていると、
そちらに向かって
海岸を横に進んでしまいます。
そうならないように、
孵化場から海に向かって、
カメたちの道が竹で作ってありました。
孵化場から海にのびたカメの道 |
子ガメたちが海にたどりつくまでにも
カニや鳥などに食べられてしまうことがあります。
最近は、イノシシも海岸にやってきて、
カニや貝を掘って食べたり、
子ガメを食べたりするそうです。
ウミガメが親ガメになって帰ってくる確率は
5000分の1とも言われています。
ちょっとした環境の変化を感じ取り、
カメたちは帰ってくるのを
やめてしまうかもしれません。
このままでは、
寄田海岸にはウミガメが
産卵に来なくなるかもしれません。
寄田海岸から海を臨む |
来年は、たくさんのカメたちが
この海岸にもどってきますように。